イントロ
「今日はハナ金! ステーキでも食べて元気出すぞー
コロナだし、ストゼロ飲みたいし、スーパーでお肉を買って家で焼こう。
とイ○ンの肉コーナーに来たものの
同じアンガス牛肩ロースステーキなのに
こっちは1枚600円、あっちは1枚750円。
賞味期限もいっしょなのになんでだろう・・・。
ま、いいや。一緒のお肉なら安いほうがいいよね!」
というわけで、よくスーパーに行く人なら何が起こっているかわかるはず。
どっちのステーキも、100gあたり150円のアンガス牛肩ロースステーキ
値段が違うのは、1つが400g、もうひとつが500gで、高いほうがただ大きいだけの肉なのでした。
そんなんわかるわ! ふざけんな、とっとと危険物の計算問題教えろ!
というあなた。
おめでとうございます。実はこの考え方で、乙4の計算問題、結構解けちゃいます。
一枚600円だったステーキを例にとって
600円を 「価格」
100gあたり150円を 「単価」
400gを 「重さ」
と呼びます。
ここで、ステーキの「価格」600円はどうやって計算するかというと
100gあたり150円で、重さが400gと4倍になるので
150(単価) × 4(重さ) = 600 (価格)
(円/100g) (100g) (円)
ですね。
この○○あたりの××を、単位あたりの××と呼び、乙4のいろんな計算問題で中身を替えて出題されます。
また、数字で書いた式の下を見てください。
それぞれ、「単価」「重さ」「価格」の単位を書いています。
「単価」は100gあたり何円なので、100gを割り算して 円/100g です。
ここで、単位を式に当てはめると
(円/100g) × (100g) = (円)
(円/100g) × (100g)は、円/100gのなかで割っている100gをかけなおしているので、(円)になります。
なので、 = の 左側の単位と右側の単位が一緒になることがわかります。
逆に言うと、左の単位になるように、右側に使われる単位をかけたり割ったりすると、公式が出てきます。
これをマスターすると、公式も覚えなくても良くなります。やったー!!
ということで、具体例を見ながらやっていきましょう。
①燃焼範囲 (濃度)
例題①
次の可燃性ガスを100Lの空気と混合させ、その均一な混合気体に火花を与えると、燃焼可能な可燃性ガス量の
組み合わせはどれか。
燃焼下限値 1.4vol% 燃焼上限値 7.6vol%
A 1L
B 2L
C 5L
D 10L
E 20L
解説
燃焼範囲とは、燃焼することができる気体可燃物の濃度です。
可燃物の濃度というのは、気体1Lあたりに含まれる可燃物の量です。
なので、ステーキのときの言葉に置き換えると
可燃性ガスの量 → 「価格」
気体1Lあたりに含まれる可燃物の量(濃度) → 「単価」
全体のガス量 → 「重さ」
になります。
なので、Aの可燃物の量が1Lのときの濃度を計算してみましょう。
「単価」 × 「重量」 = 「価格」 だったので
濃度 × 気体全体の量 = 可燃性ガスの量 です。
濃度はわからないので □
全体のガス量は 100L(空気) + 1L(可燃性ガス) =101L
可燃性ガスの量は 1L
よって
□ × 101(L) = 1L
□ = 1 ÷ 101 = 0.00990・・・ = 0.99(%)
これは、燃焼下限値以下なので×です。
同様にB~Eまでやると
B: 2 ÷ (100+2) = 0.0196・・・ = 1.96(%) → ○
C: 5 ÷ (100+5) = 0.0476・・・ = 4.76(%) → ○
D: 10 ÷ (100+10) = 0.0909・・・ = 9.09% → × (燃焼上限越え)
E: 20 ÷ (100+20) = 0.1666・・・ = 16.67% → × (燃焼上限越え)
なので答えはBとCです。
②比熱
例題②
比熱が2.5J/(g・K)の液体100gの温度を20K上昇させるために必要な熱量は何kJか?
解説
熱量 = 比熱 × 重量 × 温度差
あー、本番なのに、公式忘れた。飛ばして他の問題を・・・。
ちょっと待ってください。ステーキ肉の考え方をマスターしてれば解けます。
ここでいう熱量というのは、問題文の液体がもらった熱の総量です
比熱というのは、1グラムあたり、物質の温度を1℃(K)上げるのに必要な熱量です。
小さいやかんに入っている水を沸騰させるより、大きいやかんに入ってる水を沸騰させるほうが、時間がかかるはずです。
また、50℃まであげるより、100℃まであげるほうが時間がかかるはずです。
じゃあ、100グラムの物質を1℃あげるとどうなるかというと、
同じように、「価格」、「単価」、「重さ」に当てはめなおすと
熱量 : 「価格」
比熱 : 「単価」
重量 : 「重さ」
です。なので、熱量 = 比熱 × 重量です。
同じように1グラムの物質の温度を100℃上げるのに必要な熱量は、同じように
熱量 : 「価格」
比熱 : 「単価」
温度 : 「重さ」
なので、 熱量 = 比熱 × 温度 です。
じゃあ、100グラムの物質を100℃上げるのに必要な熱量を求めるには
比熱に重量と温度をかければいいのです。
ということで
熱量 = 比熱 × 重量 × 温度差
となりました。
問題文に戻ると 2.5(比熱) × 100(重量) × 20 (温度) = 5000 J = 5kJ
でした。
補足
問題文に書いてる単位に注目しましょう
比熱は J/ g・K
熱量は kJ(キロジュール)・・・(Jの1000倍)
重量はg、温度はK です。
問われているのは 熱量のJ 、比熱がせっかく書かれてるので、比熱を使って出すんでしょう。
ということで、熱量の単位と比熱の単位を並べてみると
J = J/(g・K) × ・・・
=の左と右は同じにしないといけないので、右側がどうやったらJになるか考えます。
比熱の単位 J/(g・K) は Jを g(重量)とK(温度) で割ってることがわかります。
じゃあ = の左と右を同じにするには、比熱に重量と温度をかけないといけない
J = J/(g・K) × g × K
熱量 = 比熱 × 重量 × 温度差
ということで、公式が出てきました。
これは難しい言葉で、次元解析とよびますが、
ステーキの考え方が成り立たず、公式を覚えないといけないものでも
ある程度推測することができます。
③体膨張率
例題③
液体200Lを別の大きい容器に詰め替えるとき、液温が40K上昇しても、容器から溢れないようにするには最低何L必要か。この液体の体膨張率を1.4×10^-3 (/K)とする。
解説
体膨張率は、温度1Kの増加あたりの体積増加率です。
ステーキのたとえに置き換えると
40K温度があがったときの体積増加量率 : 「価格」
体膨張率 : 「単価」
温度増加量 : 「重量」
なので 40K温度があがったときの体積増加率は 体膨張率×温度増加量=1.4×10^-3×40=56×10-3
200Lの気体の増加量は 200×56×10^-3=11.2
増加後の気体の体積は 200+11.2=211.2L
なので、211.2L以上の容器だとOKです。
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