まとめ
A火災:普通火災(木材などがもえる火災)
B火災:油火災
C火災:電気火災 (漏電やショートなどで発生する火災)
以下、各消化剤の消火効果と適用火災まとめ表
![消化剤別適用火災](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/9/c/9ca3530c.jpg)
本文
1. 火災の種類について
火災の種類は、燃えているものによって大きく3種類に分けています。
A火災:普通火災(木材などがもえる火災)
B火災:油火災
C火災:電気火災 (漏電やショートなどで発生する火災)
また、危険物の第3類に属するナトリウムなどの純金属による火災は金属火災(D火災)と呼ばれます。
なぜこのように分類するかというと、各火災について、消火剤を区別しないといけないからです。
2. 消化剤の種類について
① 液体系
・水消火 一番簡単な消火法
燃えている木に水をかけるとなぜ火が消えるのでしょう。
まず、水をかけると、水は蒸発する際に多くの熱を周囲から奪う性質があります。
結果もえている物の温度が下がり、木材であれば分解による可燃性ガスの発生を止めたり、
引火点以下まで冷却することで、火が消えます。これは冷却効果による消火です
![冷却消火](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/0/8/0876c03d.jpg)
燃焼の3要素の3つ目の熱源を除去して火を消してます。
また、水消火には、棒状消火と霧状消火があります。
棒状消火は、よくある消防車からホースで放水するものと同じ消火方法です。
これは使用する水量が多いので、冷却効果強いです。
![棒状消火](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/7/6/764a599a.jpg)
霧状消火は霧状に水噴射します。
![霧状消火](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/d/1/d1328343.jpg)
この消火方法がA,B,C火災にそれぞれ有効か考えてみましょう。
まず、A火災にはそのまま有効です。
B火災はどうでしょう。油は水より軽く、分離して水に浮いてしまいます。
こうなると、もえている油の下側に水が入り込んでしまうので、空気と油の接触を防げず、火が消えません。
逆にもえている油が水に流され、火災が広範囲に拡散しますので使用できません。
![油火災](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/d/d/ddf73025-s.jpg)
C火災はどうでしょう。もちろん、ショートするので、電気が流れているものに水をかけることはできません。
ただし、霧状に噴射した場合は、電流が流れにくくなり、ショートの危険性が少ないので有効です。
・強化液消火剤 ・・・ 抑制効果とは
強化液消火剤は、水に炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩を混ぜたものです。
この消火剤は、水と同じく冷却効果で消火が可能です。
加えて、カリウムが空気中の酸素と可燃物が反応することを阻害します。
これが、抑制効果による消火原理です(複雑なので詳細は別ページ参照)。
酸素を遮断するわけではないのですが、可燃物との酸化反応を抑制し、消火するのですね。
![抑制効果](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/f/a/fa9727f8.png)
・泡消火剤
泡消火剤は、泡を炎に噴射し消火する消火剤です。
この消火剤は冷却効果と窒息効果で消火します。
水消火と異なる点は、泡は油の上に浮き、炎と空気の接触を遮断することができるので、
B火災でも窒息効果で消火できます。
![泡消火](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/7/e/7ed3f41f-s.jpg)
泡消火剤は、通常タイプと水溶性液体用消火剤の2つがあります。
通常タイプの泡は水で作られているため、アルコールの用な水に溶ける用なものが燃えている場合、
泡が燃えているもの(アルコール)にとけてしまい、泡が消えてしまいます。
このような物の火災には水溶性液体用消火剤を使うと、泡が溶けないので消火をすることができます。
②気体系
・ハロゲン化物消火剤
ハロゲン化物消火剤は、気体の状態のハロゲン化物ガスを放射し、消火します。
消火効果は、窒息効果、抑制効果です。
窒息効果は泡消火と同じく、消化剤のガスが可燃物に接触してい空気を追い出し、酸素濃度を下げます。
また、ハロゲン元素は抑制効果があり、可燃物と酸素の反応を阻害します。
・二酸化炭素消化剤
可燃性のない二酸化炭素のガスを炎に噴射し、窒息効果で、消火します。ハロゲン化物消化剤のように抑制効果はありません。
また、持ち運びの都合上二酸化炭素を無理やり液体にして、消火器につめています。
この液体の二酸化炭素が気体に変わるときに、周囲の熱を奪うため、冷却効果もあります。
③粉末(固体)系
粉末消化剤は、化学薬剤の粉末をガスで一気に噴射して、消火する消火剤です。窒息効果と抑制効果で消火します。
また、リン酸塩系と炭酸水素塩系があります。
・リン酸塩系
中にはリン酸アンモニウムという物質が入ってます。
リン酸アンモニウムは燃えると分解する過程で、空気中の酸素と反応し、可燃物に酸素を供給することを妨害します(抑制効果)。
また、粉末として可燃物を覆うことで酸素と可燃物の反応を妨害します(窒息効果)。
消化能力が高いため、ABCすべての火災に適用できるため、リン酸塩を使った消化器はABC消化器と呼ばれます。
・炭酸水素塩系
炭酸水素ナトリウムなどが入った消化剤で、炭酸水素塩系も同様に抑制効果と窒息効果で消化します。
ただ、リン酸塩より消化能力が小さく(※)普通火災には適用できません。なのでBC消化剤と呼びます。
特徴的なのは、金属火災にも使用できます。
第3類の危険物にナトリウムがあります。
料理で使う食卓塩などは塩化ナトリウムで、これを純粋な物質にした場合ナトリウムになります。
この物質は、とても反応しやすく、水に加えてハロゲン元素にも反応してしまうので、これらの消化剤は使えません。
ここで、粉末消化剤が活躍します。
ただし、上の二つとは別に、金属火災用消化器というものがあり、通常これを使います。
(乾燥塩化ナトリウムや、塩化カリウムの粉末が主です。)
![粉末消火剤](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/a/e/aed12742.jpg)
3.まとめ
![消化剤別適用火災](https://livedoor.blogimg.jp/kiken_man/imgs/9/c/9ca3530c.jpg)
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